Organization ( 法人の組織図 と進め方)

  写真:作業を終えて
    (Kumarg Ayni, Tajikistan) 

Tajikistanには、多くの荒廃地がある。その多くは、彼らの生業である家畜の放牧に依存する。毎年春には新しい芽吹きが一斉に起こる。「ここには問題があるとは思えない程」豊かな緑である。ところが夏を迎える頃には、多くの草原が荒れ地と化す。森林にしても、草原にしても、自然の生態系には本来再生能力があり、大概は治癒するが、土地の再生能力を超えた過剰な家畜の放牧(土地利用)が資産を食べ尽くすのだ。これまでの社会主義政治体制による社会圧による規制によって、伝統的に保たれていた生態系のバランスは、自由主義経済に基づく競争原理による商品経済の急激な導入によって、「生態系保全の危機」が迫る。また、最近の不安定な気候変動は晩春の大雪をもたらし、家畜は備蓄した干し草を食べ尽くし、しばしば大型の家畜を死に追いやる。あるいは従来の季節に依存した生活のリズムを破壊し、危機に瀕している。

 
  写真:灌漑水路とポプラ植樹
    (Kumarg Ayni, Tajikistan) 

私たちは荒廃地に柵を設置し、一時的に家畜の侵入を制限する。一時的に土地利用を制限するのである。住民の理解と協力によって、十分に家畜の監視ができれば、柵がない場合でも植栽された果樹等の食害はない。柵の内側には、バラ科の植物を植える。数年すると、そのバラは自然の柵と同じような機能を果たすことができる。
 柵を外して、他の荒廃地や植林地へ移設する。大規模なものでなくても、身の丈でよい。自分たちが無理せず管理できる程度でよいのだ。「一緒に生活し、一緒に働き、必要があれば最小限の援助をする。」それが自然の修復に必要な「鍵」である。まず必要なのは「ともに学ぶ姿勢」ではないか? 大切なのはこれを如何に継続出来るか?

  写真:Zaravshan河氾濫原の土地利用
  (Mastcho, Ayni, Tajikistan) 

Zaravshan河はTajikistan北部を東西に流れる国際河川である。下流にはサマルカンド(Uzbekistan)がある。度重なる氾濫によって、広大な河岸段丘が生じる。もとより、耕作地に恵まれない地元民にとって、平らな土地は耕作地に転用可能な大変貴重な土地である。従前は支流から河川水を導入し、わずかな耕地でジャガイモ等を栽培していた。昨年地元民は森林公社(日本の林野庁)と地元住民は長期土地利用契約を結び、新しく生じた河川敷の利用に着手した。重機やトラックを要して河川敷に客土(耕作に適する土壌を運ぶ)し、耕地化をはかる。私たちは、ジャガイモ畑を強い谷風/山風から守る防風林の設置を応援したり、早生の果樹苗木を提供している。すこしづつだが、収穫物が安定して採れ、より安定した生活が過ごせることは、自然の生態系への付加を軽減させ、その保全にもつながる仕事だと考えている。